かかあ天下にからっ風

旧中山道は本町3丁目交差点を左折し高崎城の北側を直進。片道2車線の道は本町1丁目交差点から1車線となり赤坂町に入る。赤坂町には井伊直正の伯母、恵徳院の菩提寺・恵徳禅寺や徳川忠長が自害した部屋が移されている長松寺、狛犬の顔がひょうきんな高崎神社がある。

いつのまにか空から雲が消え晴天に。しかし上州名物のからっ風が吹き荒れはじめる。赤城おろしとも呼ばれる上州のからっ風は、冬場に吹く冷たく乾いた北風。「かかあ天下にからっ風」と言われ、養蚕業で一家を支えた働き者の女性と共に群馬県の代名詞として語られる。

赤坂町の坂を下り常磐町交差点で右折、歌川町に入り金井屋の店先で缶コーヒーを飲みながら一服する。この先の並榎町で烏川を君が代橋で渡る。左前方の山頂には高崎観音の白衣観音像が見え、右には榛名山の全貌が望める。榛名山中央部付近のちょこんと顔を出している富士山のような形をした山が榛名富士である。

下豊岡町に入った旧中山道は500m程、国道406号のルートを辿り、下豊岡バス停の先でY字路を左に行く。右の道が草津を経由して信州に向かう信州街道だ。すぐ先には八坂神社の小さな社があり、「草津温泉」「左中仙道」と彫られた道しるべが建つ。この道しるべは江戸時代末期のものと推定され、中山道と信州街道の分岐点であるこの地に建てられた。