追分の分去れから

さらしなは右 みよしのは左にて 月と花とを 追分の宿
追分宿を出ると、すぐに追分の分去れである。石燈籠から右の道は田毎の月で知られる月見の名所更科を経て、越後へ向かう北国街道。左の道は中山道で京都を経て、桜の名所奈良吉野山へと続く道。誰が詠んだ歌なのかは知らないが、旅人の心をくすぐる良い歌だ。

国道18号と合流した旧中山道は分去れを過ぎると、浅間サンライン入口交差点の手前から左の脇道へ進路を変える。親切にも旧中山道の道路標識が掲げられているので、道を間違うことはない。分岐点には中山道69次資料館があり、敷地にミニ中山道なるものが配されている。ここではミニ日本橋からミニ三条大橋に至る散策道を歩くことができ、深谷のミニ見返りの松やミニ五料の茶釜石、ミニ妙義山にミニ碓氷峠・・・、今までの道中を思い出させ実に楽しい。楽しいどころか、よくぞここまで来れたものだと・・・感涙。しかしまだまだ先は長いのだ。

静かなたたずまいの道を歩き、千ケ滝湯川用水温水路から御代田町に入る。用水路というには、いささか語弊があるのではないかと思うくらい大きな用水路である。ここの水は浅間山の雪解け水や湧き水を水源としているため、低温で農業用水としては不適であり、この溜池状の水路で水を温め、湯川の下流域へ流している。

なだらかな下り道を進むと、「ハッピードリンクショップ御代田店」の看板が掲げられる所に飲料の自販機が並ぶ。ちょうど小腹が空いたところだったので、ひとまず缶コーヒーを買い一服を入れる。そして軽井沢駅で買ったおやきを食べる。まずは野沢菜、次にあんこ。やはりおやきは野沢菜だね。そんな具合でのんびりしていたら、次から次へと中山道をウォーキングしている人たちに先を越されていくのだった。
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