長万部駅(函館本線・室蘭本線) ~名物駅弁かにめしは今~
渡島半島の付け根、内浦湾を望む地に町域を持つ長万部町。「おしゃまんべ」と読む難読地名の長万部は、年配の方なら由利徹さんのギャグ「おしゃ、まんべ」で知る方も多いことだろう。地名の由来はアイヌ語の「オ・サマム・ペツ(そこの・横になっている・川)」や「オ・サマンペ(そこの・カレイ)など諸説あるが、蝦夷地と呼ばれた時代、現在の長万部川河口が海岸線に沿って横に流れ、カレイが多く獲れたということだろう。
慶長9年(1604)松前藩が成立しその支配を受けたことに歴史がはじまる長万部。寛文9年(1669)松前藩に対してアイヌが蜂起、シャクシャインの戦いとして歴史に名を残すこの戦いで、町内を流れる国縫川付近が激戦地になった。以来江戸期を通して松前藩や幕府が支配、明治維新期に斗南藩の支配を経て廃藩置県後の明治6年(1873)長万部副戸長に竹内弥兵衛が任命される。長万部町ホームページによれば「近代国家組織の末端機構である村の首長が置かれたということで、この年をもって長万部町の開礎としている。」と紹介する。
長万部駅は明治36年(1903)北海道鉄道森駅~熱郛駅間の開通に伴い一般駅として開業。大正12年(1923)国有鉄道長輪線(現 室蘭本線)長万部駅~静狩駅間が開通し2路線が乗り入れる乗換駅となり、現在は室蘭本線の起点駅である。昭和49年(1974)みどりの窓口を開設、同59年(1984)荷物取扱い廃止、同60年(1985)貨物取扱い廃止、同62年(1987)現駅舎に改築された。
長万部駅と言えば名物弁当”かにめし”だろう。昭和初期に駅弁として販売された”かにめし”は、ほぐした毛ガニのむき身を炒め味付けし、ご飯に満遍なくまぶした完成度の高い駅弁で、長万部の特産品として世に名を知らしめた。私は北海道の旭川に帰郷する際、函館から札幌まで特急北斗やスーパー北斗をよく利用してきたが、函館から乗車して間もなく車内販売の乗務員が”かにめし”の予約をとりにきて、長万部駅到着後に”かにめし”を受け取る素晴らしいシステムができていた。しかしながら、2019年に車内販売が終了、乗車中に”かにめし”を買うことも食べることもできなくなってしまったのだ。こういった旅行者を楽しませる配慮がJR北海道は足りないんだよなあ…、と愚痴を言ってもしょうがないので、あの味を再び求めて長万部駅に降り立つ。

空中写真データ:国土地理院 整理番号CHO7612-C11-15を基に作成
昭和51年(1976)撮影、長万部駅周辺の空中写真。駅舎をはじめホームや構内跨道橋の配置は現在と大きく変わらない。駅北側で函館本線から室蘭本線が分岐、その分岐点左側に転車台と車庫を残す。現在、駅から海岸線に続く駅前通りは海岸線まで続いておらず、何かの工場らしき敷地で行き止まっている。

長万部駅で特急北斗9号(札幌行)から下車。

長万部駅に待機するH100形気動車。

構内跨道橋より札幌方面。

構内跨道橋より函館方面。

改札口。

改札口横にみどりの窓口。

駅舎内に併設する観光案内所兼売店。

駅舎前には”おしゃまんべ温泉郷”の宿泊施設案内。予約が取れたら今夏に宿泊してみよう。

駅から内浦湾に向かって延びる駅前通り。左手には長万部名物折詰そばの店。ここは次に来たときにとっておこう。

この駅舎は新幹線が札幌まで開通しているはずの10年後には消え失せているのだろう。

駅前にある”お食事処かなや”。かにめしの元祖、”かにめし本舗かなや”が経営する。

お食事処の隣には”駅弁かにめし本舗かなや”。ここで特急北斗で食べたあの”かにめし”が買えるのだ。

列車内を模したイートインスペースを設けている。

これが”かなやのかにめし”。久々の再会に感動。

特急北斗の車内で幾度となく食べた懐かしい味。何で車内販売をやめたのだろう…。

店舗前にはかにめし弁当の自販機。

かにめし弁当で腹を満たし駅前通りを歩いて海岸へ。内浦湾の向こう遠くに北海道駒ヶ岳を望む。

海岸から駅前通りを歩いて長万部駅に戻ろう。

駅前通り沿いには北海道新幹線の延伸着工と長万部駅の高架化が決定したことを知らせる看板が。

新幹線が長万部まで延伸開業したとき、駅前はどう変化していくのか。

いずれこの駅舎も撤去され、木古内駅や新函館北斗駅のように近代化するのだろう。

駅舎内に入り。

発車時刻表と到着時刻表。倶知安行普通はから13:29発。

改札を通り3・4番ホームへ向かう。島式ホーム2面4線の駅構造なので、列車に乗るには改札から必ず構内跨線橋を渡らなければならない。

振り返って改札口。

跨線橋より函館方面。倶知安行普通が停車している。

ここで跨線橋から3・4番ホームへ降り。

階段の途中に発車時刻表。

4番のりばで発車を待つ13:29発倶知安行普通。

倶知安行普通は1両編成。車内に入ると座席は全て埋まり立っている乗客も多くいる状況。倶知安・小樽方面は1日4本しかなく、日中に乗れるのはこの倶知安行と16:38発の小樽行のみ。せめて2両編成にしてほしい。

3・4番ホームの駅名標。

3番のりばに渡島砂原経由の13:37発函館行普通が入線。見慣れたキハ40形。

倶知安行普通に乗車し、長万部駅で入手した北の大地の入場券を撮っておく。

車内から昆布駅。

車内からニセコ駅。

次の比羅夫駅へ向かっている途次、まだ名残り雪を見る季節にラフティングする人たち。雪解け水が流れ込んでいて水も相当に冷たいはずで、ひと言すっげーな。

車内から比羅夫駅。次は終着の倶知安。

車内では降りても公共交通機関が無いので次の倶知安駅で下車するようにとのアナウンスが流れていた。
訪問日:2022年5月2日(月)
慶長9年(1604)松前藩が成立しその支配を受けたことに歴史がはじまる長万部。寛文9年(1669)松前藩に対してアイヌが蜂起、シャクシャインの戦いとして歴史に名を残すこの戦いで、町内を流れる国縫川付近が激戦地になった。以来江戸期を通して松前藩や幕府が支配、明治維新期に斗南藩の支配を経て廃藩置県後の明治6年(1873)長万部副戸長に竹内弥兵衛が任命される。長万部町ホームページによれば「近代国家組織の末端機構である村の首長が置かれたということで、この年をもって長万部町の開礎としている。」と紹介する。
長万部駅は明治36年(1903)北海道鉄道森駅~熱郛駅間の開通に伴い一般駅として開業。大正12年(1923)国有鉄道長輪線(現 室蘭本線)長万部駅~静狩駅間が開通し2路線が乗り入れる乗換駅となり、現在は室蘭本線の起点駅である。昭和49年(1974)みどりの窓口を開設、同59年(1984)荷物取扱い廃止、同60年(1985)貨物取扱い廃止、同62年(1987)現駅舎に改築された。
長万部駅と言えば名物弁当”かにめし”だろう。昭和初期に駅弁として販売された”かにめし”は、ほぐした毛ガニのむき身を炒め味付けし、ご飯に満遍なくまぶした完成度の高い駅弁で、長万部の特産品として世に名を知らしめた。私は北海道の旭川に帰郷する際、函館から札幌まで特急北斗やスーパー北斗をよく利用してきたが、函館から乗車して間もなく車内販売の乗務員が”かにめし”の予約をとりにきて、長万部駅到着後に”かにめし”を受け取る素晴らしいシステムができていた。しかしながら、2019年に車内販売が終了、乗車中に”かにめし”を買うことも食べることもできなくなってしまったのだ。こういった旅行者を楽しませる配慮がJR北海道は足りないんだよなあ…、と愚痴を言ってもしょうがないので、あの味を再び求めて長万部駅に降り立つ。

空中写真データ:国土地理院 整理番号CHO7612-C11-15を基に作成
昭和51年(1976)撮影、長万部駅周辺の空中写真。駅舎をはじめホームや構内跨道橋の配置は現在と大きく変わらない。駅北側で函館本線から室蘭本線が分岐、その分岐点左側に転車台と車庫を残す。現在、駅から海岸線に続く駅前通りは海岸線まで続いておらず、何かの工場らしき敷地で行き止まっている。

長万部駅で特急北斗9号(札幌行)から下車。

長万部駅に待機するH100形気動車。

構内跨道橋より札幌方面。

構内跨道橋より函館方面。

改札口。

改札口横にみどりの窓口。

駅舎内に併設する観光案内所兼売店。

駅舎前には”おしゃまんべ温泉郷”の宿泊施設案内。予約が取れたら今夏に宿泊してみよう。

駅から内浦湾に向かって延びる駅前通り。左手には長万部名物折詰そばの店。ここは次に来たときにとっておこう。

この駅舎は新幹線が札幌まで開通しているはずの10年後には消え失せているのだろう。

駅前にある”お食事処かなや”。かにめしの元祖、”かにめし本舗かなや”が経営する。

お食事処の隣には”駅弁かにめし本舗かなや”。ここで特急北斗で食べたあの”かにめし”が買えるのだ。

列車内を模したイートインスペースを設けている。

これが”かなやのかにめし”。久々の再会に感動。

特急北斗の車内で幾度となく食べた懐かしい味。何で車内販売をやめたのだろう…。

店舗前にはかにめし弁当の自販機。

かにめし弁当で腹を満たし駅前通りを歩いて海岸へ。内浦湾の向こう遠くに北海道駒ヶ岳を望む。

海岸から駅前通りを歩いて長万部駅に戻ろう。

駅前通り沿いには北海道新幹線の延伸着工と長万部駅の高架化が決定したことを知らせる看板が。

新幹線が長万部まで延伸開業したとき、駅前はどう変化していくのか。

いずれこの駅舎も撤去され、木古内駅や新函館北斗駅のように近代化するのだろう。

駅舎内に入り。

発車時刻表と到着時刻表。倶知安行普通はから13:29発。

改札を通り3・4番ホームへ向かう。島式ホーム2面4線の駅構造なので、列車に乗るには改札から必ず構内跨線橋を渡らなければならない。

振り返って改札口。

跨線橋より函館方面。倶知安行普通が停車している。

ここで跨線橋から3・4番ホームへ降り。

階段の途中に発車時刻表。

4番のりばで発車を待つ13:29発倶知安行普通。

倶知安行普通は1両編成。車内に入ると座席は全て埋まり立っている乗客も多くいる状況。倶知安・小樽方面は1日4本しかなく、日中に乗れるのはこの倶知安行と16:38発の小樽行のみ。せめて2両編成にしてほしい。

3・4番ホームの駅名標。

3番のりばに渡島砂原経由の13:37発函館行普通が入線。見慣れたキハ40形。

倶知安行普通に乗車し、長万部駅で入手した北の大地の入場券を撮っておく。

車内から昆布駅。

車内からニセコ駅。

次の比羅夫駅へ向かっている途次、まだ名残り雪を見る季節にラフティングする人たち。雪解け水が流れ込んでいて水も相当に冷たいはずで、ひと言すっげーな。

車内から比羅夫駅。次は終着の倶知安。

車内では降りても公共交通機関が無いので次の倶知安駅で下車するようにとのアナウンスが流れていた。
訪問日:2022年5月2日(月)

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