日高本線 ~2023正月 汐見駅跡・富内駅跡~
平成27年(2015)1月の高波被害で鵡川駅~様似駅間が不通となって以来、再び開通することなく令和3年(2021)に廃止された日高本線を少しだけ見てみようと、鵡川駅から様似方面へ車を走らせ汐見駅跡に。勇払郡むかわ町汐見一区に所在する汐見駅は鵡川漁港を中心に形成される汐見市街の北東側に設けられていた。昭和34年(1959)の開業から旅客扱いのみの無人駅で、廃止時には単式ホーム1面1線と待合所を有していた。開業時には待合所が無く後に周辺住民からの寄付により設置されたという。開業から4年経った昭和38年(1963)に撮影された空中写真を見てみると待合所らしき建造物が確認できる。

空中写真データ:国土地理院 整理番号_MHO634X-C5B-3を基に作成
昭和38年(1963)撮影、汐見駅周辺の空中写真。ホームがよく見えないが待合所らしき建造物が確認できる。

空中写真データ:国土地理院 整理番号_CHO759-C36-3を基に作成
昭和50年(1975)撮影、汐見駅周辺の空中写真。現在と変わらない単式ホームと待合所が確認できる。

野ざらしに原野に取り残される汐見駅。

駅横を通って線路を渡る道路。かつては汐見駅踏切が設けられていた。

汐見駅踏切跡より鵡川方面。

待合所とホームをそのまま残す。

汐見駅から鵡川漁港方面の汐見市街へ延びる道路。

ホーム上には駅名標の枠だけが残されていた。

コンクリートブロック造りの待合所。

出入口扉の窓には列車代行バスから公共バスへ運行が変わることを知らせるポスターが残されていた。

待合所の扉にカギが掛かっておらず内部見学可。

ベンチとソファーがそのまま残される。

壁には業務用の電話箱とスピーカー。このスピーカーで列車の到着を知らせていたのだろうか。

かつては右手の卓上に駅ノートがあったようだ。

待合所出入口。

汐見駅を後にし次の富川駅へ向かおう。
富川駅は大正2年(1913)苫小牧駅を起点に開通した苫小牧軽便鉄道の終着駅として開業、当初は佐瑠太駅と称す。大正11年(1922)馬車軌道を転用し沙流軌道(後に沙流鉄道)佐瑠太駅~平取駅間が開通、同13年(1924)日高拓殖鉄道佐瑠太駅~厚賀駅間が開通し3路線の接続駅となった。昭和2年(1927)苫小牧軽便鉄道と日高拓殖鉄道が国有化され日高線に改称、昭和19年(1944)佐瑠太駅は富川駅に改称し全盛期を迎えるが、終戦後に製紙原料となる木材輸送が減少したうえ、トラックの代替輸送が普及したことで昭和27年(1952)沙流鉄道廃止が廃止。更にモータリゼーションによる需要減少から同57年(1982)富川駅は貨物取扱いを廃止、同59年(1984)荷物取扱いが廃止され、同61年(1986)無人駅となり切符販売が簡易委託された。平成元年(1989)現駅舎へ改築、後に簡易委託も廃止され完全な無人駅に。令和3年(2021)4月1日、日高本線(鵡川~様似間)の廃止に伴い廃駅となった。

空中写真データ:国土地理院 整理番号_USA-M149-14を基に作成
昭和27年(1952)撮影、富川駅周辺の空中写真。沙流鉄道が廃止される2ヶ月前に撮影されたもの。駅南側の沙流川右岸に広大な貯木場が見え、製紙産業で発展する苫小牧方面への木材搬出が盛んに行われていたことをうかがう。

空中写真データ:国土地理院 整理番号_CHO759-C39-7を基に作成
昭和50年(1975)撮影、富川駅周辺の空中写真。現駅舎へ改築される前の旧駅舎が見え、当時は単式ホームと島式ホームを有し構内踏切で連絡していた。沙流鉄道が廃止されて23年が経ち線路跡は道路や住宅地に消失、沙流川沿岸の貯木場も縮小し木材輸送が下火になっていることをうかがう。

駅前を通る道道289号(富川停車場線)の路傍には富川駅を示す道路標識が残る。

廃止から約2年が経った富川駅。

平成元年(1989)に建てられた駅舎は築34年ながらまだ新しい印象。

駅舎左手には駐輪場を設けている。

出入口上の鋭角な三角屋根が特徴的。

駅と道道289号を繋ぐ駅前通り。かつては駅前に商店や飲食店があったのだろう。

駅舎の出入口扉は閉ざされ”営業終了のお知らせ”が。

出入口扉の窓より中を覗き。

駅舎内左側にシャッター。かつて売店があったらしく、このシャッターはその名残りなのだろう。

駅舎横にある電話ボックスと公衆トイレはまだ使えます。

ホームへは立入禁止で入れない。

汐見・鵡川方面へ延びる線路はまだ残っていた。

今回見てきた日高本線の最後は富川~日高門別間を流れる沙流川に架かる沙流川橋梁。この先は次の機会に。
訪問日:2023年1月2日(月)

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