幾寅駅(根室本線) ~鉄道員(ぽっぽや)のロケ地~
高倉健主演、映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地として知られる幾寅駅。平成11年(1999)の公開から24年経った現在も駅舎は幌舞駅として改装されたままで、駅前には”だるま食堂”や”井口商店”などのロケセットを残す。奇しくも北海道の駅を舞台にしたNHK連続テレビ小説”すずらん”が同年(1999)に放映を開始、ロケ地に使われた留萌本線の恵比島駅は今年(2023)4月1日に留萌本線(石狩沼田~留萌)と共に廃止されたが、ロケセットの明日萌駅や駅前旅館を残し今もドラマの作品世界に浸れるのは両駅とも同様だ。
ノストラダムスの大予言におののいた20世紀末に映画とテレビドラマのロケが北海道にあるローカル線の駅で同時期に行われ、これに撮影協力をしてきたJR北海道は両作品にタイアップする形で”SLすずらん号”と”ぽっぽや号”の運行を開始する。ぽっぽや号は映画撮影のためにキハ40形をキハ12形として改造したディーゼル車両で、撮影終了後も根室本線(滝川~新得)で観光列車ぽっぽや号として運行された。
幾寅駅は南富良野町の市街中心部、空知郡南富良野町字幾寅に所在。明治34年(1901)北海道官設鉄道十勝線の鹿越駅~落合駅間が延伸開業、これに伴い翌年(1902)に開設された。昭和8年(1933)駅舎が全焼し同年に再建、南富良野町の中心駅として役目を果たしてきたが、昭和中期以降から時流に抗えず利用者が減少、同57年(1982)貨物取扱い廃止、同59年(1984)2月に荷物扱いが廃止され、12月には切符販売だけを残し旅客業務も廃止に。その翌年(1985)切符販売を簡易委託化、平成11年(1999)映画「鉄道員(ぽっぽや)」が公開されたが、利用者減少に歯止めがかからず同15年(2003)簡易委託も廃止され完全な無人駅となった。同28年(2016)台風10号の被害により富良野駅~音別駅間で橋梁流失や土砂流入が相次いで不通となり、東鹿越駅~新得駅間は復旧されることなく代行バスの運行を開始、再び列車がやってくることが無いまま、来年(2024)3月31日の運行をもって根室本線(富良野~新得)と共に廃止される。

平成28年(2016)8月31日の台風10号襲来より列車がやって来ることがなくなった幾寅駅。駅や周辺には映画「ぽっぽや(鉄道員)」の作品世界を残す。

映画の作品世界を作るためより古そうに改装された駅舎。もちろん改装前は昭和後期に見られたごく普通の木造駅舎だった。

駅舎出入口上に掲げるのは健さん演じる佐藤乙松が最後の駅長を務めた幌舞駅。

駅舎内に入って。

待合室より旧改札口。

待合室より駅前側出入口。

出入口上には駅前に設けられたロケセットの写真が並ぶ。

旧切符売場と荷物扱い窓口。事務室は”鉄道員(ぽっぽや)”の展示コーナーになっている。

旧改札口上に掲げる発車時刻表と普通運賃表。1日に新得・帯広・釧路方面4本(新得行の代行バス)4本、富良野・滝川方面5本(東鹿越行の代行バス)が発着。

荷物台上には「鉄道員(ぽっぽや)」ロケ地見学記念のスタンプ。

切符売場窓口には出演者の奈良岡朋子さんの写真。今年(2023)3月に逝去され、ニュースを目や耳にした方も多いことだろう。映画”釣りバカ日誌”シリーズで鈴木建設社長スーさんの妻役で毎回出演されていたことが私にとって一番の記憶。

旧駅事務室のは”鉄道員(ぽっぽや)”の展示コーナー。

展示コーナー入口には志村けんさんの訃報を伝える新聞記事。

志村けんは酒癖の悪い炭鉱夫として出演していた。

こちらは健さんの訃報を伝える新聞記事や追悼ポスター。健さんが亡くなったのが2014年、早いもので9年もの年月が流れたのか。

キャスト・スタッフのサインコーナー。

田中好子さん、奈良岡朋子さん、志村けんさん、そして今世間を騒がせている広末さんのサイン色紙が並ぶ。

こちらは原作者の浅田次郎さんをはじめ、主役佐藤乙松を演じた健さん、その妻役の大竹しのぶさんのサイン色紙。

幌舞駅の発車時刻表。旭川は実在の駅だが美寄は架空の駅。美深と名寄を足して二で割った感じかな。

健さんが撮影中に身に着けていた衣装。

幌舞駅前のロケセット模型。

改札口の古びた柵。映画撮影時には既に無人駅と化していた幾寅駅だが、有人駅時代に使われていたものを映画のセットとして再利用したのだろうか。

切符売場窓口の事務室側。平成15年(2003)まで簡易委託の切符販売がここで行われていたはず。

展示室の見学を終えて待合室に戻り。次は駅構内を見学しよう。

改札口を抜け構内に入ってすぐ左手にあるロケセットのトイレ。駅に忘れた人形を取りに来た女の子が主役の健さんと出会うシーンで登場した。

駅舎とホームの間には高低差がありこの階段を使ってアクセスする。

ホームより東鹿越・富良野方面。

ホームより新得・帯広方面。

消えかける名所案内と駅名標。

もうここに列車がやって来ることは無い。

そう思うと何か空しい。

駅前へ移動。先ず目に留まるのが”ぽっぽや号”。映画撮影のためにキハ40形をキハ12形として改造した車両。

撮影終了後も根室本線(滝川~新得)で観光列車として運行されたが、平成17年(2005)に廃車。現在は車体を半分に切断して幾寅駅前に保存展示している。

ぽっぽや号の運転台。

車両客室には座席や吊り革が残され、遮断部分の壁面には出演者のサイン色紙を飾っている。

天井にはJNRの扇風機。

駅前の”だるま食堂”。映画のセットなのでここで食事はできません。

だるま食堂から道を挟んで隣にロケセットの井口商店。

今や商店とは想像できないほどに古びた建物だが。

ロケ当時はこんな感じだった。

だるま食堂と幌舞駅。

ロケセットの倉庫。この赤い倉庫は昭和52(1977)撮影の空中写真でその建物を確認でき、元々あった倉庫をロケセットに利用したのだろう。

倉庫隣にある”ひらた理容店”。この建物も昭和52(1977)撮影の空中写真で確認でき、何かの建物を改装してロケセットに利用したと思われる。

”ひらた理容店”の側面にはモントリオール世界映画祭で主演男優賞を受賞した高倉健さん、日本アカデミー賞最優秀賞9部門を受賞した鉄道員(ぽっぽや)を称える看板を掲げている。

駅前ロケセットの中にある占冠村営バスの幾寅駅前停留所と南富良野マップ。

日曜を除いて1日上り下り3本のバスがやって来る。

南富良野町全域の観光地を詳細に記す南富良野マップ。今はこの観光地図がどれだけの来訪者に役立っているのかわからないが、来年(2024)駅が無くなってから先に町はどう変貌していくのだろう。
訪問日:2023年4月1日(土)
ノストラダムスの大予言におののいた20世紀末に映画とテレビドラマのロケが北海道にあるローカル線の駅で同時期に行われ、これに撮影協力をしてきたJR北海道は両作品にタイアップする形で”SLすずらん号”と”ぽっぽや号”の運行を開始する。ぽっぽや号は映画撮影のためにキハ40形をキハ12形として改造したディーゼル車両で、撮影終了後も根室本線(滝川~新得)で観光列車ぽっぽや号として運行された。
幾寅駅は南富良野町の市街中心部、空知郡南富良野町字幾寅に所在。明治34年(1901)北海道官設鉄道十勝線の鹿越駅~落合駅間が延伸開業、これに伴い翌年(1902)に開設された。昭和8年(1933)駅舎が全焼し同年に再建、南富良野町の中心駅として役目を果たしてきたが、昭和中期以降から時流に抗えず利用者が減少、同57年(1982)貨物取扱い廃止、同59年(1984)2月に荷物扱いが廃止され、12月には切符販売だけを残し旅客業務も廃止に。その翌年(1985)切符販売を簡易委託化、平成11年(1999)映画「鉄道員(ぽっぽや)」が公開されたが、利用者減少に歯止めがかからず同15年(2003)簡易委託も廃止され完全な無人駅となった。同28年(2016)台風10号の被害により富良野駅~音別駅間で橋梁流失や土砂流入が相次いで不通となり、東鹿越駅~新得駅間は復旧されることなく代行バスの運行を開始、再び列車がやってくることが無いまま、来年(2024)3月31日の運行をもって根室本線(富良野~新得)と共に廃止される。

平成28年(2016)8月31日の台風10号襲来より列車がやって来ることがなくなった幾寅駅。駅や周辺には映画「ぽっぽや(鉄道員)」の作品世界を残す。

映画の作品世界を作るためより古そうに改装された駅舎。もちろん改装前は昭和後期に見られたごく普通の木造駅舎だった。

駅舎出入口上に掲げるのは健さん演じる佐藤乙松が最後の駅長を務めた幌舞駅。

駅舎内に入って。

待合室より旧改札口。

待合室より駅前側出入口。

出入口上には駅前に設けられたロケセットの写真が並ぶ。

旧切符売場と荷物扱い窓口。事務室は”鉄道員(ぽっぽや)”の展示コーナーになっている。

旧改札口上に掲げる発車時刻表と普通運賃表。1日に新得・帯広・釧路方面4本(新得行の代行バス)4本、富良野・滝川方面5本(東鹿越行の代行バス)が発着。

荷物台上には「鉄道員(ぽっぽや)」ロケ地見学記念のスタンプ。

切符売場窓口には出演者の奈良岡朋子さんの写真。今年(2023)3月に逝去され、ニュースを目や耳にした方も多いことだろう。映画”釣りバカ日誌”シリーズで鈴木建設社長スーさんの妻役で毎回出演されていたことが私にとって一番の記憶。

旧駅事務室のは”鉄道員(ぽっぽや)”の展示コーナー。

展示コーナー入口には志村けんさんの訃報を伝える新聞記事。

志村けんは酒癖の悪い炭鉱夫として出演していた。

こちらは健さんの訃報を伝える新聞記事や追悼ポスター。健さんが亡くなったのが2014年、早いもので9年もの年月が流れたのか。

キャスト・スタッフのサインコーナー。

田中好子さん、奈良岡朋子さん、志村けんさん、そして今世間を騒がせている広末さんのサイン色紙が並ぶ。

こちらは原作者の浅田次郎さんをはじめ、主役佐藤乙松を演じた健さん、その妻役の大竹しのぶさんのサイン色紙。

幌舞駅の発車時刻表。旭川は実在の駅だが美寄は架空の駅。美深と名寄を足して二で割った感じかな。

健さんが撮影中に身に着けていた衣装。

幌舞駅前のロケセット模型。

改札口の古びた柵。映画撮影時には既に無人駅と化していた幾寅駅だが、有人駅時代に使われていたものを映画のセットとして再利用したのだろうか。

切符売場窓口の事務室側。平成15年(2003)まで簡易委託の切符販売がここで行われていたはず。

展示室の見学を終えて待合室に戻り。次は駅構内を見学しよう。

改札口を抜け構内に入ってすぐ左手にあるロケセットのトイレ。駅に忘れた人形を取りに来た女の子が主役の健さんと出会うシーンで登場した。

駅舎とホームの間には高低差がありこの階段を使ってアクセスする。

ホームより東鹿越・富良野方面。

ホームより新得・帯広方面。

消えかける名所案内と駅名標。

もうここに列車がやって来ることは無い。

そう思うと何か空しい。

駅前へ移動。先ず目に留まるのが”ぽっぽや号”。映画撮影のためにキハ40形をキハ12形として改造した車両。

撮影終了後も根室本線(滝川~新得)で観光列車として運行されたが、平成17年(2005)に廃車。現在は車体を半分に切断して幾寅駅前に保存展示している。

ぽっぽや号の運転台。

車両客室には座席や吊り革が残され、遮断部分の壁面には出演者のサイン色紙を飾っている。

天井にはJNRの扇風機。

駅前の”だるま食堂”。映画のセットなのでここで食事はできません。

だるま食堂から道を挟んで隣にロケセットの井口商店。

今や商店とは想像できないほどに古びた建物だが。

ロケ当時はこんな感じだった。

だるま食堂と幌舞駅。

ロケセットの倉庫。この赤い倉庫は昭和52(1977)撮影の空中写真でその建物を確認でき、元々あった倉庫をロケセットに利用したのだろう。

倉庫隣にある”ひらた理容店”。この建物も昭和52(1977)撮影の空中写真で確認でき、何かの建物を改装してロケセットに利用したと思われる。

”ひらた理容店”の側面にはモントリオール世界映画祭で主演男優賞を受賞した高倉健さん、日本アカデミー賞最優秀賞9部門を受賞した鉄道員(ぽっぽや)を称える看板を掲げている。

駅前ロケセットの中にある占冠村営バスの幾寅駅前停留所と南富良野マップ。

日曜を除いて1日上り下り3本のバスがやって来る。

南富良野町全域の観光地を詳細に記す南富良野マップ。今はこの観光地図がどれだけの来訪者に役立っているのかわからないが、来年(2024)駅が無くなってから先に町はどう変貌していくのだろう。
訪問日:2023年4月1日(土)

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