

宿内にある山本屋酒店前で缶コーヒーを飲みながら一休み。ふと「洗馬宿旧跡マップあります」の貼り紙が目に留まる。「ほぉー」と興味をそそられ店内に入ろうとするのだが、入口は鍵がかかっており開かない!いかにも営業しているようなのであるが・・・仕方なくあきらめる。山本屋酒店の向かい側には真新しい赤門があり、ここから続く参道は聖徳山の力強い文字の扁額を掲げる萬福寺へと至る。そして旧中山道を先へ進むと左に洗馬公園。この付近は高札場跡で説明板と中山道の石柱、洗馬宿の石碑が置かれている。

言成地蔵尊入口の看板から旧中山道を離れてちょっと寄り道する。踏み切りを渡った先には、読んで字の如く、願い事を叶えてくれるという言成(いいなり)地蔵が安置されている。かつては多くの参詣者で賑わったというが、今は静かな森の中のひっそりとした場所である。しかし現在も参詣者が絶えないと案内板にはあり、御堂は奉納されたたくさんの千羽鶴で彩られている。私もここで二つのお願いをする。旅の道中、ぶっとばして走るトラックや熊出没注意の看板に恐怖を感じることが多いので、とにかく道中の安全。それと遠く北海道に住む親兄弟の無事である。書いてみるとちょっとくさい気もするが・・・

旧中山道に歩みを戻し中央本線のガード下を潜ると、右に左に蛇行する道が先に続き、旧道の面影を良く伝えてくれる。ガード下からすぐ先の左手には、滝神社へと続く参道が山中へ延びる。ここは中山道を離れて参道に入ろう。いかにも年季の入った石鳥居を潜ると、鬱蒼とした森の中へ一本道が続く。国道19号の高架下から更に奥へ入ると滝神社の社殿が現れ、雑音が無いのが空恐ろしくなるほど、川の流音と鳥や虫の鳴き声が森林にこだまする。神社の裏手には山から染み出し集まった尾沢川の清流が滝を作っている。この神社の由来になったのであろう小さな滝ではあるが、十分に自然美を堪能できるすばらしい場所である。

神社を後にして先へ進む。高台にある牧野公民館の下に「牧野一里塚之跡」と書かれた木製の標柱が現れる。ここは江戸日本橋から60里目(約236km)の一里塚である。左の高台斜面にそれらしき大きな木はあるが、これといった遺構には気付かない。そして一里塚から坂を上りきるとかつて立場茶屋が置かれていた牧野集落である。集落を抜けると山間の田園地帯を進むのであるが、やがて牧野交差点で国道と合流し喧騒の道となる。ここまで来ると本山宿は近い。
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