山王峠越え①

【2011年4月2日(土)会津西街道 横川宿→糸沢宿 道中】
栃木県と福島県の県境をなす帝釈山地、その荒海山(標高1580m)と男鹿山(標高1777m)に挟まれた尾根を会津西街道は越え、ここを古くから山王峠と呼んでいた。現在は国道121号の山王トンネルが山地を貫いており、昭和55年(1980年)にこのトンネルが開通するまでは、山王トンネル上に位置する標高906mの峠をつづら折れに越えて国道が通されていた。この山王峠越えの旧国道は、明治15年(1882年)に当時の県令(現在で言う県知事)三島通庸によって開削された三方道路が元になっていると思われる。その旧国道が敷設されるまで使われていたであろう会津西街道は、旧国道の山王峠からやや西側で峠を越えており、こちらが本家本元の旧山王峠である。

山王峠の名は峠の頂付近に鎮座していた山王権現が由来と伝わり、鎌倉時代には峠を挟んで下野側、会津側それぞれにあったという。新編会津風土記(1803年から1809年にかけて編纂された会津藩領に関する地誌)にもその記述が見られるというから、存在していたことは確かなのだろう。現在も旧山王峠の頂から少し福島県側へ下った所に山王権現のものといわれる礎石が残っている。前々の記事に紹介したイザベラ・バードは山王峠を越えるときの様子をこう書いている。
「長い山路を登ると、高さ2500フィートの峠の頂上に出た。そこは30フィートも幅の無い突き出た山の端で、山々や峡谷のすばらしい眺めがあった。」

会津西街道 山王峠


山王峠旧道入口
山王峠旧道入口。江戸期の会津西街道はここで旧国道を左手に分かれ、沢伝いに山中へ入る峠道。


山王峠旧道
旧道へ入ってすぐの地点。路面にはしっかり残雪があり。峠まで辿り着けるのか少々不安に。


山王峠旧道
旧道は沢伝いに進む。ズボズボ足が埋まる。


山王峠旧道
沢の先に旧道が続く。大昔は簡単な橋が架けられていたのだろうが、現在は徒歩渡しするしかない。幸いそれほど水量が多くなかったので簡単に渡れた。


山王峠旧道
残雪と倒木が行く手を阻む。とにかく前進あるのみ。


山王峠旧道
山王峠旧道。


山王峠旧道
右下に沢を見ながら山の斜面際を縫うように旧道は山中へ延びる。


山王峠旧道にて
おっと、糞を踏んづけるところだった。しかし見事な…。


山王峠旧道
急斜面を峠の頂に向かってつづら折れに登る。道形は崩れつつある。


山王峠旧道
登ってきた斜面を望む。上から見ると結構な急斜面であることを実感。


旧山王峠
急斜面を乗り越えれば、間もなく峠の頂に着く。


旧山王峠
ここが山王峠。幅の狭い山の尾根上に位置し、イザベラ・バードが記した山王峠の様子を目の当たりに実感する。写真の尾根奥が福島県で手前が栃木県。GPSの軌跡を確認する限り標高は972mだった。中央に見える石仏は馬頭観音である。


山王峠の馬頭観音
山王峠の頂に残る馬頭観音。「弘化元年十一月七日 施主 中三依 大黒屋」の銘がある。


山王峠の馬頭観音
馬頭観音の背後にはイザベラ・バードが見たであろう”会津の山々や峡谷のすばらしい眺め”があった。


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No title

しまむーさん、ご無沙汰しております。

3月11日は西東京工業団地にある会社の建物内にて地震を感じました。
あまりの揺れにこれは普通じゃないと思い、同僚たちとすぐに広場へ避難したのですが、その後、東北地方で大津波や福島原発の被害が拡がることとは、その時は思いもしませんでしたが…

以来、私などはすっかり生活を乱されたままでしたが、このところ、ようやく日常生活に戻った感があります。

ふと、しまむーさんのことが気になって、訪ねた次第です。
歩かれていたのですね。しかも残雪の山王峠を会津若松へ向かって。

イザベラ・バードと訊いて、初めてではない人だな?と、思ったら、
私の読書リストの中にこれから読みたい本として登録してありました。
彼女の道中日記にはとても興味を引かれますよね。

会津は浜通りからは離れているとはいえ、まだまだ余震も続いています。
どうかこれからの道中、お気をつけて歩かれますように。



No title

ビアヘーロさん、お久しぶりです。
東日本大震災は人生で初めて経験した大きな揺れの地震だったのですが、そのときに私もこれほどの大災害になるとは予想もしませんでした。もし、被災地にいたならば、津波の怖さを知らない私はどんな行動をとったのか…。考えるだけでゾッとします。

会津西街道の旅もついに福島県に突入しました。イザベラバードの足跡を辿りながら、大内宿を訪ねるのが今から楽しみです。そのためにも、平穏な日常が続いてくれること祈りたいです。ビアヘーロさん、気にかけていただいて有難うございました。
プロフィール

しまむー

Author:しまむー
自称りーまんな旅人。
千葉県在住。

Flashカレンダー
現在の行程

東海道 東海道を歩いてます。


1日目(2013/5/19)三条大橋→大津宿 MAP
2日目(2013/7/13)大津宿→草津宿 MAP
3日目(2013/7/14)草津宿→石部宿 MAP
4日目(2013/8/3)石部宿→水口宿 MAP
5日目(2013/8/4)水口宿→土山宿 MAP
6日目(2013/10/13)土山宿→坂下宿→関宿 MAP
7日目(2014/3/9)関宿→亀山宿→庄野宿 MAP
8日目(2014/5/3)庄野宿→石薬師宿→四日市宿 MAP
9日目(2014/5/4)四日市宿→桑名宿→七里の渡し跡 MAP
10日目(2014/6/8)七里の渡し跡→宮宿→鳴海宿 MAP
11日目(2014/11/2)鳴海宿→池鯉鮒宿 MAP
12日目(2015/4/4)池鯉鮒宿→岡崎宿 MAP
13日目(2015/5/23)岡崎宿→藤川宿 MAP
14日目(2015/7/19)藤川宿→赤坂宿→御油宿 MAP
15日目(2015/9/22)御油宿→吉田宿 MAP
16日目(2015/11/29)吉田宿→二川宿 MAP
17日目(2016/2/20)二川宿→白須賀宿→新居宿 MAP
18日目(2016/4/3)新居宿→舞坂宿→浜松宿 MAP
19日目(2016/5/6)浜松宿→見付宿 MAP
20日目(2016/5/7)見付宿→袋井宿 MAP
21日目(2016/6/25)袋井宿→掛川宿 MAP
22日目(2016/7/17)掛川宿→日坂宿→金谷宿 MAP
23日目(2016/10/8)金谷宿→島田宿 MAP

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