笠寺観音

【2014年6月8日(日)旧東海道 宮宿→鳴海宿 道中】
宮宿を出て次の鳴海宿へは約7kmの道程、その道中に尾張四観音の一寺、笠寺観音がある。正式名を天林山笠覆寺と称し、天平5年(733年)善光という僧が自彫の十一面観音像を祀り、天林山小松寺を建立したのに始まりがあると伝わる。それから100年以上の後に堂宇は荒廃、藤原兼平(平安時代後期の官人、藤原北家小野宮流)がここを通り掛かったところ、風雨に晒されていた観音像に自分の笠を被せる心優しい娘を見初め、都へ呼び寄せ玉照姫と名付けて妻とした。兼平と玉照姫は縁を結んでくれた観音像に感謝し、御堂を建立して安置したという。観音像を笠で覆ったという故事に因んで笠覆寺の名が付けられ、今に笠寺観音と呼ばれる由縁。両人にあやかって縁結びや良縁成就、夫婦円満の祈願に訪れる人も多い。




国道1号側道 名古屋市瑞穂区内浜町
国道1号の側道を進み東海道本線の踏切を渡る。


内浜町の地蔵堂
踏切の脇にある地蔵堂。


トヨトミ
国道沿いに”トヨトミ”の巨大看板が。名古屋で見る太閤殿下の名だけに威厳を感じる。”トヨトミ”は大手暖房機器メーカーで、ここに本社工場を置く。


国道1号側道 名古屋市瑞穂区内浜町
内浜町を行く国道1号。かつては八丁畷と呼ばれた松並木の東海道だったが、現在その雰囲気は全く無い。


八丁畷公園
そんな国道1号と名古屋高速が交差する高架下には松田橋。かつて東海道を横切る用水路に架けられていた小橋、残存する親柱を使い八丁畷公園に復元された。


松田橋跡の解説板
松田橋跡の解説板より。絵図右が京方面で右端にある”さんだ橋”は裁断橋のこと、左が江戸方になる。松田橋の姿は絵図には見えない。


松田橋交差点
多くの車が往来する松田橋交差点。


旧東海道 名古屋市瑞穂区荒崎町
荒崎町の旧東海道。国道1号から車の喧騒を離れて旧東海道を進む。山崎川左岸の旧東海道沿いは本井戸田村の町家が並び出町と称した。


秋葉神社
秋葉神社の横を通り、その先で山崎川を渡る。


山崎橋
山崎川に架かる山崎橋。江戸時代には板橋が架けられていた。


吾妻屋
山崎川東詰にある吾妻屋で”鬼まんじゅう”なる和菓子を購入。


鬼まんじゅう
これが鬼まんじゅう。名古屋辺りではよく知られた和菓子だという。


旧東海道 名古屋市南区呼続
山崎橋東詰から先は旧山崎村の町並み。現在は呼続という地名になっているが、これは明治期に成立した村名。江戸期以前、呼続の台地西側はあゆち潟の海岸で、現在の呼続駅から本笠寺駅にかけての海岸を呼続の浜と呼んでいた。


山崎の長坂
山崎の長坂。山崎川から江戸方の旧東海道は、だらだらと続く上り坂。


山崎城跡(安泰寺)
線路左側の鬱蒼と木々が茂る小山が山崎城跡。現在は安泰寺。山崎城は織田信長の家臣、佐久間信盛が一時居城とした。廃城年不明。文化3年(1806)完成の「東海道分間延絵図」には安泰寺の隣に古城跡の記述が見られる。


安泰寺
山崎城跡に建つ安泰寺。


熊野三社
山崎の長坂上に鎮座する熊野三社。江戸期の山崎村は山崎橋近くを橋町、長坂から熊野三社にかけてを坂町、それより湯浴地蔵までを新町、更に南側を南町と分け称した。


熊野三社の手洗鉢
熊野三社の手洗鉢。かつて呼続の台地は周りを海と川に囲まれた半島状の地形で、白砂青松が美しい松巨嶋(まつこじま)と呼ばれる景勝地だった。この手洗は明和3年(1766年)建立、正面に松巨嶋を刻む。


熊野三社02
熊野三社。永禄年間(1558年~70年)。当時の山崎城主佐久間信盛が城中の守護神として祀ったことに始まり、寛永4年(1627年)現在地に再建された。


鎌倉街道古道
旧東海道は鎌倉街道と伝わる小路と交差。写真奥から手前にかけての道が旧東海道、左に折れる道が鎌倉街道古道で、白毫寺を経て”あゆち潟”の海を渡り熱田神宮へ通じていた。鎌倉街道は鎌倉時代に幕府が置かれる鎌倉へ通じていた道、江戸時代に東海道が整備されるまで東国と西国を結ぶ主要道だった。


鎌倉街道古道
鎌倉方面の鎌倉街道古道(写真左方向)。


湯浴地蔵(地蔵院)
旧東海道と鎌倉街道古道の交差する角にある湯浴地蔵(地蔵院)。鎌倉時代に鋳造されたと伝わる地蔵尊坐像を安置する。名の由来は参詣人が湯を浴びせ祈願したことから。


旧東海道 名古屋市南区呼続3丁目
呼続3丁目を行く旧東海道。旧山崎村の南町にあたる。


清水稲荷
立木観音長楽寺境内にある清水稲荷殿。長楽寺は弘法大師が清水叱枳尼眞天(しみずだきにしんてん)を本尊として創建したと伝わる。その本尊を祀るのがここ清水稲荷殿。


長楽寺境内にて
長楽寺境内にて。ニワトリが二羽…これはもしや。


名古屋コーチン
全国に名高いあの名古屋コーチンなのか!?こんな所で目の当たりにするとは。


旧塩付街道
旧東海道から分岐する旧塩付街道。かつて星崎七カ村(山崎・戸部・笠寺・本地・南野・荒井・牛毛村)は海に面して塩浜が広がり、塩の生産が盛んに行われた。ここで生産された塩は前浜塩と呼び、富部神社辺りから塩付街道を通って美濃や信濃方面へ運ばれた。この分岐点は旧戸部村にあたる。


富部神社祭文殿・回廊
富部神社は慶長8年(1603年)津島神社の牛頭天王を勧請し創建。もとは”戸部天王”や”蛇毒神天王”とも呼ばれた。慶長11年(1606年)松平忠吉(徳川家康四男)が本殿・祭文殿・回廊を建立、本殿は建立当時の建物が今に残り、慶長の建築様式を伝える。


旧東海道 名古屋市南区呼続5丁目
旧東海道は呼続5丁目で北から南東方向へ曲がり笠寺観音へ向かう。


笠寺商店街
笠寺商店街。この商店街から笠寺一里塚辺りまでの街道沿いは、笠寺村の町家が並び門前町を形成、立場が置かれていた。


笠寺西門交差点
笠寺西門交差点で旧東海道と名古屋環状線が交差。


笠寺観音西門
西門から笠寺観音こと笠覆寺の境内へ。


江戸時代後期の笠寺観音
現地設置の解説板より、江戸時代後期の笠寺観音(尾張名所図会)。本堂や開山堂をはじめ、仁王門・多宝塔・鐘楼等の伽藍を持つ荘厳な寺院、多くの参詣客が訪れている。


笠寺観音多宝塔
正保年間(1645年~1648年)建立の多宝塔。その前には「徳川家康御幼少之砌 人質交換之地」と刻む石碑を置く。天文18年(1549年)織田家の人質となっていた松平竹千代(後の徳川家康)と、今川家に捕えられた織田信広(織田信長異母兄)の人質交換がここ笠寺観音で行われた。


笠寺観音笠覆寺本堂
笠寺観音笠覆寺本堂。宝暦13年(1763年)から文政11年(1828年)の再建、尾張名所図会に描かれている本堂はこの建物なのだろうが、本堂右隣に設けられていた渡り廊下と開山堂は失われている。


笠寺観音玉照堂
本堂前にある玉照堂。明治時代に笠寺観音は荒廃し、玉照姫を祀る堂宇も失われた。その後長らく再建されることなく、平成14年(2002年)になってようやく玉照堂が再建された。玉照姫と藤原兼平を祀る。


笠寺観音仁王門
笠寺観音正面入口の仁王門。文政3年(1820年)建立。


笠寺観音放生池(亀池)と弁財天
仁王門前の放生池(亀池)と弁財天。


玉照姫泉増院
笠寺観音の門前にある玉照姫泉増院。こちらも玉照姫を祀っている。


旧東海道 名古屋市南区笠寺町下新町
笠寺町下新町を行く旧東海道。


笠寺一里塚
東塚が現存する笠寺一里塚。塚上には旺盛な枝ぶりの榎が立つ。江戸日本橋から88里目(約346km)、京三条大橋からは30番目(実測で約156km地点、七里の渡しを27.5kmとして測定)となる。


旧東海道 名古屋市南区笠寺町柚ノ木・白雲町
笠寺一里塚の先、鳴海宿までは天白川を挟んで松並木の街道が続いた。


天白橋
天白橋で天白川を渡る。江戸時代には板橋が架けられていた。


天白川
天白橋より下流を望む。天白川を渡れば鳴海宿は近い。


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東海道 東海道を歩いてます。


1日目(2013/5/19)三条大橋→大津宿 MAP
2日目(2013/7/13)大津宿→草津宿 MAP
3日目(2013/7/14)草津宿→石部宿 MAP
4日目(2013/8/3)石部宿→水口宿 MAP
5日目(2013/8/4)水口宿→土山宿 MAP
6日目(2013/10/13)土山宿→坂下宿→関宿 MAP
7日目(2014/3/9)関宿→亀山宿→庄野宿 MAP
8日目(2014/5/3)庄野宿→石薬師宿→四日市宿 MAP
9日目(2014/5/4)四日市宿→桑名宿→七里の渡し跡 MAP
10日目(2014/6/8)七里の渡し跡→宮宿→鳴海宿 MAP
11日目(2014/11/2)鳴海宿→池鯉鮒宿 MAP
12日目(2015/4/4)池鯉鮒宿→岡崎宿 MAP
13日目(2015/5/23)岡崎宿→藤川宿 MAP
14日目(2015/7/19)藤川宿→赤坂宿→御油宿 MAP
15日目(2015/9/22)御油宿→吉田宿 MAP
16日目(2015/11/29)吉田宿→二川宿 MAP
17日目(2016/2/20)二川宿→白須賀宿→新居宿 MAP
18日目(2016/4/3)新居宿→舞坂宿→浜松宿 MAP
19日目(2016/5/6)浜松宿→見付宿 MAP
20日目(2016/5/7)見付宿→袋井宿 MAP
21日目(2016/6/25)袋井宿→掛川宿 MAP
22日目(2016/7/17)掛川宿→日坂宿→金谷宿 MAP
23日目(2016/10/8)金谷宿→島田宿 MAP

高札場
【川越街道 旅の報告】
2013年1月13日(日)
武蔵国板橋宿を発ってから…
約5ヶ月の月日をかけて、川越城本丸御殿に到着しました!
川越時の鐘
【成田街道 旅の報告】
2012年7月8日(日)
下総国新宿を発ってから…
約5ヶ月の月日をかけて、成田山新勝寺・寺台宿に到着しました!
新勝寺大本堂と三重塔
【会津西街道街道 旅の報告】 2012年1月22日(水)
下野国今市宿を発ってから…
約1年6ヶ月の月日をかけて、
会津鶴ヶ城に到着しました!
鶴ヶ城
【 水戸街道 旅の報告 】 2010年5月5日(水)
武蔵国千住宿を発ってから…
約3ヶ月の月日をかけて、
水戸の銷魂橋に到着しました!
水戸弘道館
【 日光街道 旅の報告 】 2010年1月10日(日)
江戸日本橋を発ってから…
8ヶ月の月日をかけて、
東照大権現が鎮座される
日光東照宮に到着しました!
日光東照宮陽明門
【 中山道 旅の報告 】
2008年10月13日(月)
江戸日本橋を発ってから…
1年10ヶ月もの月日をかけて、 ついに京都三条大橋に到着しました!
京都三条大橋

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