日坂宿

Tokaido_Hoeido_26_Nissaka.jpg
東海道五十三次之内日坂 佐夜ノ中山
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典「日坂宿」より引用


【2016年7月17日(日)旧東海道 日坂宿】
事任八幡宮を過ぎれば日坂宿。古くは”新坂”や”西坂”とも書く。”小夜の中山”と呼ばれる峠越えの難所が東側に控え、峠を往来する多くの旅人が旅装を解き、この宿場で足を休めたことだろう。広重は浮世絵「東海道五十三次之内日坂 佐夜ノ中山」の題で”小夜の中山”の急坂と道の中央に鎮座する夜泣石、それを珍しげに眺める旅人の様子を描いている。小夜の中山については次の記事に譲るとして、まずは東海道名所記(万治年間刊行)に書かれる日坂宿は読んで興味深いので下に紹介。

「新坂ハわらびもち名物なり 葛の粉にてつくり。豆の粉をまぶして旅人にすすむるに。往来の人ひだるさまぎれに蕨餅なりと思ひて。つゐに葛餅なりとハしらずかし。楽阿弥かくぞよミける
物の名も ところによるか 新坂の 蕨のもちハ よその葛餅
左のかたに山ふたつあり。鯨(おくじら)山 鯢(めくじら)山といふ。此山より碁石いづるなり。大なる木のしたに。洞あり。ほらのうちに清水あり。潮汐のさし引有といふ
左の方に八まんの宮あり
右の方に銀杏の木あり。その右は田なり。よめが田と名づく。道より五町バかり左のかたに。しうとが畑あり。これハむかし。よめあたりのつらきしうとめあり。
一畝の田を朝の間に。よめにうへさせしかば。石にこしかけてよめハ死けり。よめのこしかけ石 今にあり 塚につきて銀杏の木をしるしにうへたり。木も今 道バたにあり。しうとめハ畑に出て麻を見けるが にはがに雷なりければ影森といふ。在所ににげ入て終にいかつちにうだれて死ぬと申つたへし
くらぼねの池 左にあり なか橋 そね川」
*原文中の変体仮名は平仮名に変換

東海道名所記によれば日坂宿の名物は蕨餅なのだが、実のところ葛餅だったようだ。次に雄鯨山と雌鯨山の伝説に少しだけ触れ、続いて嫁田(よめがた)と姑畑(しゅうとがはたけ)の伝説を紹介している。今や日坂宿京方外れの街道筋にあったであろう嫁田と姑畑、嫁の腰掛石がどこにあったのかわからない。しかし東海道分間絵図を見れば、街道を挟んで「八まん めくじら山」の向かいに「よめ田有」の表記が確認できる。

日坂宿は江戸日本橋から東海道五十三次を25宿目、京都三条大橋から29宿目。天保14年(1843年)当時、宿の町並み長さ東西 6町半(約710m)、人口750人、家数168軒、うち本陣1、脇本陣1、旅籠屋33 軒。江戸方から上町(本町)・下町・古宮町と続く町並み。名物は蕨餅、飴の餅、子育飴。




日坂宿
事任八幡宮を過ぎれば日坂宿の町並みに。古宮橋から京方は古宮町と称していた。


秋葉常夜燈
古宮町の秋葉常夜燈。弘化2年(1845年)建立。常夜燈横に見える鳥居と小さな社は若宮神社。元々社殿は鳥居から参道を登った山中にあったようだが、最近になってここに移されたらしい。


岡パン
日坂にあるパン屋さん”岡パン”。正式名は岡田製パン。周りの雰囲気に溶け込んだ店構えがいい。”岡パン”のパンはここと道の駅掛川で買える。


賜硯堂成瀬大域出生の地
賜硯堂成瀬大域出生の地。文政10年(1827年)、ここ古宮町に生まれた成瀬大域は明治期に活躍した書家。明治天皇より楠木正成愛用と伝わる硯を賜り、自らと庵を”賜硯堂”と称した。


日坂宿古宮町
古宮橋南詰、古宮町の家並み。


糀屋
古宮町の旧家、糀屋。


古宮橋
古宮橋南袂。


古宮橋
日坂宿の古宮町と下町の境、古宮橋。下を流れるは逆川。


下木戸跡と高札場
古宮橋北袂は下木戸跡。他の宿場に見られるような見付石垣や門等は設けられず、逆川が木戸の役目を果たしていたらしい。ここは高札場跡でもあり、復元高札が設置されている。


下町の秋葉常夜燈
相伝寺入口にある下町の秋葉常夜燈。天保10年(1839年)建立。


相伝寺
下町にある相伝寺。


川坂屋
日坂宿最西端の旅籠だった川坂屋。現存する建物は嘉永5年(1852年)の日坂宿大火後に再建されたもの。


川坂屋
川坂屋の中へ。中庭に続く通り土間。


川坂屋
みせノ間。西郷従道(隆盛の実弟、明治期の軍人・政治家)がここに宿泊した折、揮毫した衝立を展示する。


川坂屋
みせおく。


川坂屋05
一ノ間(奥)と二ノ間(手前)。主屋の最奥にあたり通常時は襖で仕切られている。建築当初は上段ノ間だった。


川坂屋
川坂屋居間(家人の部屋)跡。往時は写真の建物左に続いてその居間があったらしい。


川坂屋
川坂屋の裏手。かつては裏庭や土蔵があったと思われるが、静岡県道415号が通り消失している。


川坂屋
二階座敷に展示する襖の書は、日坂出身の書家成瀬大域によるもの。


川坂屋
川坂屋二階より旧東海道を望む。


川坂屋
川坂屋を後に。


萬屋
次は旧旅籠”萬屋”。上段の間を持っていた大旅籠の川坂屋に対し、こちらは主に庶民が利用した旅籠。現存する建物は嘉永年間(1848年~54年)から安政年間(1854年~60年)にかけての建築と推定されている。


萬屋
入口から萬屋内部へ。


萬屋
街道に面するみせ部分。みせにわ、広敷、みせ、帳場からなる。


萬屋
ここが出入口。向かいは丸屋。


萬屋
萬屋の2階座敷。様々な旅人がここで酒と雑談で夜を過ごし、雑魚寝で朝を迎えたことだろう。


萬屋
>
萬屋2階からの眺め。最奥に見える建物が川坂屋。


法讃寺
萬屋と藤文の間に参道を延ばす法讃寺。


藤文
幕末に問屋役を務めた伊藤文七の商家藤文。主屋は江戸末期の建築、隣接する”かえで屋”部分が明治初期の建築。


藤文
藤文の通り土間とみせ部分。


藤文
通り土間と板敷の台所。


藤文
通り土間の最奥は炊事場。


藤文
主屋の裏手、土蔵が残っている。


藤文
萬屋(奥)と藤文(手前)。


日坂宿下町
日坂宿下町の旧東海道。


宮嶋酒店
日坂の酒屋、宮嶋酒店。


脇本陣黒田屋跡
脇本陣黒田屋跡。幕末に最後の脇本陣を務めた大澤富三郎家があった場所で、現在は山本屋という店がある。


問屋場跡
問屋場跡。


本陣扇屋跡
代々片岡金左衛門家が務めた本陣扇屋跡。敷地およそ350坪、建坪220坪の広大な本陣だった。嘉永5年(1852年)の大火で全焼、再建後の明治3年(1870年)に店を閉じ、明治12年(1879年)からは日坂小学校の敷地となり家屋が校舎として利用された。現在は広大な敷地を残すのみで、復元された本陣門だけが街道に面して建つ。


本陣扇屋跡
本陣跡前を通る旧東海道。


上町(本町)の秋葉常夜燈
本陣敷地の脇には上町(本町)の秋葉常夜燈。


日坂宿上町(本町)
日坂宿の江戸方端、家並みが途切れた先から”小夜の中山”の峠道がはじまる。


日坂宿上町(本町)
宿江戸方端より日坂宿を振り返って。


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高札場
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